調査資材の和訳はローカライズ作業も込みで

<翻訳者編-1>
市場調査の翻訳って実際には何やっているの? と人から尋ねられたら、簡単に答えれば「調査票(いわゆるアンケート用紙)とか報告書の和訳とか英訳」となるでしょうが、実際には純粋なテキストベースの翻訳作業だけで終わることはまずありません。

報告書だったらExcelの元データを翻訳してそのチャートをPowerPointのレポートファイルに貼り付ける(クライアントさんによってはチャートの貼り付け方法そのものについても細かく支持される方もいらっしゃいます)、とかクライアント指定のスタイルに統一するとか、結構地味で細かい作業が結構多いのです。

また、海外で作成されたアンケートだったりすると、和訳してそのまま日本で使えるなんてことは100%ありえません。市場固有の事情が必ずありますから。たとえば、世帯年収を尋ねる質問でオリジナル版での年収区分が次のようにあったとします。

  • Less than $25,000
  • $25,000 to $34,999
  • $35,000 to $49,999
  • $50,000 to $74,999
  • $75,000 to $99,999
  • $100,000 or more

単純に今のドル円レート(1ドル=97円≒100円)で換算すると…

  • 250万円未満
  • 250万円~350万円未満
  • 350万円~500万円未満
  • 500万円~750万円未満
  • 750万円~1,000万円未満
  • 1,000万円以上

となりますが、その時のレートが80円くらいだったとしてもやはり1ドル=100円で換算して出した方が対象者(回答する人)にとってもわかりやすくなります(金額の区切りが50万円とか100万円の方がはるかにクリアです)。この作業がローカライズ。つまり現地の状況に合わせた内容で日本語版を作っていく、ということです。

非まじめっ子

あともっと注意が必要なのは調査票そのもののロジックチェック。たとえば前のどこかの質問で「昨年アメリカへ一度も旅行しなかった」と回答した人が後の質問で「あなたは昨年アメリカのどちらの都市へ行きましたか?」と聞かれたら対象者は戸惑ってしまいます。そんなことのないように「昨年アメリカへ旅行しなかった」対象者は上記の質問をスキップするような流れになっていないとまずいわけです。その流れの確認がロジックチェック。質問の分岐に辻褄の合わないところがあればクライアントさんにフィードバックすべきです。

翻訳者が上記のような作業も翻訳と同時に出来るとすごくクライアントさんに喜ばれます。だからと言って別に特別なサービス、ということでもないような気がするのですが、というのも、翻訳者は翻訳する内容をよく理解していることが大前提なので。内容をよく理解しようとするとどうしてもロジック的におかしいところに気づかざるを得ないのです。

それって純粋に語学力だけの問題じゃあないですよね?と言われそうですが、その通りです。実務の翻訳というのはある程度の語学力があるのが当然。さらに翻訳する文書を扱う業界にもかなり精通していることが求められます。それがないとクライアントさんが納品物を見ても「これじゃあ使えないね」と突き返されるか、あるいは次回はもう発注がないということになるでしょう。

written by 非まじめっ子

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