英文解釈は大学受験まで英語学習の重要なパーツ

<翻訳者編-3>
中学生の英語でも必ずテスト問題になる英文和訳(英語学習的には「英文解釈」でしょうか?)。最近の事情はよく知りませんが、まだ英文解釈は大学受験まで英語学習の重要なパーツになっているのではないでしょうか。

その「英文→和文」の作業ですが日本語としてはすごく不自然な表現をよく使いますよね? たとえば、“All girls in the classroom were wearing blue skirts which appeared to be made-in-China.”という英文があったとします。私の中高生時代だったらたぶん「そのクラスにいるすべての女子は中国製であるように思われる青いスカートをはいていた」で合格点だったと思います。

でもこの情景を目に浮かべて日本語にしたら普通こういう日本語は出てきませんよね? あるクラスを覗いてみたら、10人か30人かわかりませんが生徒がいて、そのうち何人か不明ですが女子生徒がいてその子たちは全員(もしかしたら制服かもれませんが)青いスカートをはいているのが目についた。しかもこのスカートにはどことなく中国製という印象を与えるものがあったんですね。その場面を誰かに伝えるとしたら「そのクラスの女の子は全員青いスカートをはいていて、そのスカートは中国で作られた製品みたいだった」と言った方がまだ実用的な日本語に近いかと思うんですけど… (それでもまだ何となく不自然さがあったらすみません)。

かつて外部の翻訳者養成講座を受けたことがあるのですが、そこでは基本原則として「すべての」「これらの」「~において」という日本語を一切認めず使っただけで減点対象でした。日本語はもともと単数と複数の区別がはっきりしていないですよね。書店に入った時平積みになっているものも棚にあるものも「本」とか「書籍」と表現するしかないじゃないですか。英語で表現したら絶対“these/those books”となりそうですけどね。

非まじめっ子

ところが英語で“these books”と書かれていたらそれを「これらの本」と訳さないと気が済まないのが学校で英語を学んだ人たちの心理です。「ここにある本」とか「こちらの棚にある本」という表現がすぐ出てくるとしたら、かなり日本語感度の良い人なのではないでしょうか。

では実務ではどうかと言うと、これが一筋縄ではいかないのです。翻訳者の能力よりクライアントさんの意向や好みの方が大切なので。

私もどちらかと言えば「すべての」「これらの」「あれらの」の使用を避けています。日本語としてやっぱり変ですもの。しかもアンケート用紙を日本で使えるように和訳するとなったら、リクルーターやっているおばさんたちがストリートキャッチする主婦とか学生さん(つまり調査対象者)とかの目線で日本語の表現を考えなければなりません。その人たちにとってわかりづらい日本語だったらその和訳は使い物になりません。ですから常日頃こなれた日本語になるようオンライン辞書など活用していろいろ調べながら作業を進めています。

ところが、クライアントさんによっては「今回はバックトランスレーションをするので意訳はあまりしないように」と言われたことがありました。英語の調査票を和訳後、その日本語版を英訳してオリジナルの表現と逸脱していないかどうかを確認するんだそうです。そんなリクエストが来たら日本語が自然とか不自然とかいうことは二の次で、とにかくクライアントさんのご希望に沿うように納品物を仕上げるしかありません。

またthese/those/allですが、こちらも「これらの/それらの/すべての」と訳さないとクレームしてこられるクライアントさんがいるのも事実です。そのようなフィードバックがあればそれに合わせて修正をするまでです。

浪人時代に『思考訓練の場としての英文解釈』で日本語を大切にする和訳に目覚め、今日に至るまでそれが翻訳作業のベースになっているわけですが、実務翻訳をする場合一番重要なのはクライアントさんの意向です。

先ほどの翻訳講座を途中でやめたのも主宰者の理念が高過ぎて、私が重視するclient-oriented approachとは何となく相容れないものを感じたからでした。

written by 非まじめっ子

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