英語を日本語へ頭の中で変換する作業

<翻訳者編-4>
翻訳の仕事を始めて、特に英訳作業を受注した時に痛感したのは英文法の知識不足でした。
市場調査のアンケートでは選択肢の中から一つあるいはあてはまるものを全て番号で選ぶとかいう質問が多いのですが、中には「あなたはシャンプーで洗髪することでどのような効果を期待しますか。」なんて質問があって、それに対しては対象者自身のことばで自由に回答してもらうのです。たとえば「髪の汚れを落とす」とか「洗髪すると気持ちがすっきりする」などいろいろな回答が出てくるでしょう。

翻訳で時々依頼がくるのは、何百人もの対象者にアンケートをした回答のうち、回答番号で答えるのではなく、上記のような自由回答したものについての作業です。一人分だったらたいしたテキスト量ではないですが、数百名分ともなるとかなりのボリュームになります。おまけに一つのアンケートの中に自由回答が20ヵ所近くあることも決して稀ではありません。

非まじめっ子

いつか受注したチョコレートのアンケートの英訳作業では、「最近あなたがチョコレートを購入なさった時のエピソードを説明してください」(クライアントさんのご希望であればこういう設問でもアンケートに盛り込みます)という質問があり、ある対象者の回答は次のような内容でした。

「新宿のデパ地下で見かけて気になっていて、でもその時は買う時間がなくて通り過ぎただけなのですが、何週間かした後、仕事でとっても頑張ったことがあったので自分のご褒美にしようと思って帝国ホテルに入っている店舗で9粒入りのセットを買いました」

日本語はただでさえ主述関係があいまいになったりするものですが、アンケートの回答ともなれば書き言葉と話し言葉が混在するようなものも多く、翻訳者はまず日本語を理解できる日本語へ頭の中で変換する作業をしなければならないことも少なくないんです。

先ほどの自由回答につけた私の英訳は↓のような感じでした。
“The chocolate displayed at the shop in the basement food floor at some Shinjuku department store’s caught my attention, but I did not have time to buy them and just passed by. A few weeks later, I purchased an assortment of 9 pieces at the shop in the Imperial Hotel as a treat for myself because I had done a good job for some project.”

このような回答が(無回答も多少ありますが)200も300もあるわけです。それを英訳するのですから、英語力というより体力勝負と言った方が正確かもしれません。とは言え、一つ一つの回答をスラスラ英訳するなんてことは今ですらなかなか出来るものではありません。

「デパ地下」とか「自分へのご褒美」みたいな表現はネットのオンライン辞書とか使えばすぐに見つかります。むしろ悩むのは冠詞の使い方とか時制に関するものの方が多いかと。特に冠詞は難しい…. 大学入試の時にもいろいろパターンを覚えたりしたんですけどね。あまり頭に残っていないのはやはりまだまだ使いこなしていない証拠でしょう。時制についても現在形とか単純過去ならまだしも、現在完了形と現在完了進行形とか過去進行形とか、使い分けが結構細かい。

このような背景がありリスニングなど自分の中で問題レベルにあると認識していたとしてももう一度英文法は復習した方がいいかも、と思うことがしばしばあったのです。

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